薩摩鉢
6.0号
水戸の趣味者、根本さんがカナダへ移住されるため、秘蔵の鉢を記念にプレゼントされたものです。根本さんの奥さんの実家がおもと業者、偕楽園芸桜井さんのおうちで、お父上がおもと趣味者で「五柳」鉢などの古鉢を収集されていました。その薫陶を得て根本さんも焼き物には興味をお持ちでした。
 三方正面といわれる、三本足のどの足を正面にしても絵柄がおかしくない手法で描かれています。厚手で独特のクリーム色の地色の上に鮮やかな彩色で花柄が書き込まれています。

京薩摩と呼ばれる、薩摩風の作りで京都の清水で焼いたものもあると聞いていますが、私には識別できません。丸に十の島津の紋まで入っています。

 右側面から見る。
 左側面から見る。
 裏面。
島津の家紋と「寿官
」の銘が書き込まれています。
沈寿官窯の作品ならば相当に価値があるものですね。本当にそうなのか私には峻別出来ません。どなたか目利きの方、教えて下されば幸いです。
この鉢について、埼玉の伊崎様、福岡の横山様からご指摘並びにご教示を賜りました。
まず、銘の字体が全く異なり、本物は風格のある流れるような上品なもので、上記の鉢の銘は勝手に書き込まれたものに間違いないであろうという点。絵付けの繊細さも寿官の作品には到底及ばないとのことでした。また地の色合い、色調、絵付けの技法などからみて、いわゆる京薩摩でもなく、九谷焼に間違いないであろうという結論です。 ありがとうございました。

独白 まあ私も「寿官」の銘は「いかにも、、」という感じは持っていましたのでガックリはしませんでしたが、九谷で焼いたならこれだけ美しい鉢なんだから九谷オリジナルでいけばよいだろうに、といささか憮然とした気持ちは拭えません。焼き物の世界ではよくあることのようではありますけどね。結果的にどこで焼かれたにしても、根本さんから頂いた私の大切な品であることは全く変わりません。

実は20年以上前に元日万連会長で有名な盆栽愛好家でもあった長野市の故玉川幸三氏から白無地の寿官の鉢を譲って頂いたことがあります。7寸ほどの大きさでずっしりした感じの鉢でした。銘は入っていませんでした。玉川氏から「あんたにはわからないかもしれないけど、これは本物だから高く売ってもいいよ」といわれて当時としても結構な価格で譲り受けたものです。しばらく持っていましたが、東京の趣味者H氏がそれを聞きつけて、売らないかといわれました。私も少々持て余していましたし、無知でもありましたし、また提示価格が魅力的だったので二つ返事で売り渡しました。後でお聞きするとH氏は鹿児島のご出身でその価値を十分にご存知だったんですね。近年になって「あの鉢を売る気はありませんか?」とお聞きしたところ無口なH氏はニヤッと笑ってお返事はありませんでした。自分の無知を慨嘆するのみです。以上お粗末。

H18/4/20