おもとを楽しむ
日本の観葉植物
万年青(おもと)は
江戸時代から連綿と受け継がれてきた
日本の伝統園芸植物です
田哲園は長野市赤沼で、おもとの栽培と普及に取り組んでいます
万年青の系統
一粒の赤い実から、まったく性質の違う葉が育つ。雨の日に星を見つける確率と
いわれるほど難しい万年青の実生の世界、しかし、確かにその中から名品が
生まれてきました。
狭き門を突破してきた名品の偉大さ、そして、実生の歴史こそ
万年青の歴史といえます。
実親(みおや)
万年青のはじまりは、実を付ける一株です。交配のために選ばれた親株を実親と呼びます。
羅紗、獅子、縞甲のほとんどは実生によって生み出されてきました。大葉や一文字系などは原種の突然変異で斑が入る品種もあります。
交配 — 4月下旬〜5月上中旬
4月下旬〜5月上中旬に交配すると、実を付けます。
雌木と雄木の性質から実生の芸や形を想像しながら交配し、ごく僅かな確率の中から次世代の名品が生まれます。
赤い実 — 11月以降
万年青の実は11月以降に赤くなります。
赤い実と緑の葉のコントラストは美しく、お正月に生花としても使われることがあります。
実生(みしょう)
採れた実を播くと、親とは違う姿の苗が育ちます。
日本おもと協会に登録されている1000種超のほとんどは、こうして生まれた実生の中から選び抜かれ、受け継がれてきたものです。
羅紗系(らしゃけい)
小型で葉芸に特化した系統で、現代の万年青の主流です。ほとんどが交配種で、ポルトガル語の「raxa」を語源とする厚手の毛織物を連想させる地肌をしています。
羅紗系で赤い実の付くものはほとんどありません。葉の表面の変化=葉芸と葉姿を観賞します。
代表品種瑞泉、旭峰、双天、和楽、琴治、舞子、鸞山、旭翠、玉楼、天元、お多福の図、峻嶺、聖雲殿、天光冠、富国殿、力和、松籟、新生殿、萬風、文晁、巌武、楼蘭、壽冠
薄葉系(うすはけい)
獅子、縞甲、千代田斑、一文字系などがこの系統です。
「獅子」は品種名に「舞」や「丸」がつき、巻きが良いほどよいとされます。斑の出るもの、葉の表面に葉芸を現すものがあります。葉が自然に巻くなど、他の植物にはあまり見られないパターンです。
代表品種地球宝、根岸松の図、富士の図、海龍獅子、四君子、玉獅子の虎、錦麒麟、冨士の雪、舞子獅子、鳳、玉姫、南海、三光の松、千代田の松、日出の松、晃明殿、朝陽、鶴の舞、山雅の松、濱飾、太陽、大雲海
大葉系(おおはけい)
都の城、大象観に斑が入ったものなど、変異によって生まれた品種が多く登録されています。葉の表から裏にかけて出現する斑の色が鮮明で、その量が一面に多く現れるものほど好まれます。
斑の種類は覆輪、縞、図、虎斑、曙斑などが基本です。
代表品種家宝都の図、紫雲楽、残雪、五大州、太陽殿の虎、旭光、児玉残雪、文鳥丸、外輪山、駿河富士、東天光、達磨、武蔵、鷲高隈、龍巻都の図、千代田城、大雪山
そして、また実親へ
実生の多くはハガタと呼ばれます。その中から次世代の実親が生まれます。
確率は低くとも、そこに夢をみて楽しむストーリーそのものに万年青趣味の本質が詰まっています。
いっぽう羅紗系や獅子系は、万年青の主流でありながら、ほとんど実を付けません。最も葉芸の進んだ系統が、自らは次の代を生まない。この非対称もまた、万年青という趣味の面白いところです。
万年青という植物
万年青はキジカクシ科の常緑多年草です。原種は山陰〜九州地方の低山地に自生し、年中青々として赤い実が付く姿が一般的に広く知られています。
花言葉は「長寿」「母性の愛」などで、お正月の生花の素材としても用いられます。
栽培の歴史
- 江戸時代初期
徳川家康公は江戸城(千代田城)に入城する際、家臣から「永島」「烟草葉」「吾妻鏡」という三種の万年青を献上されました。
- 江戸時代中期
一般庶民の間でも栽培されるようになり、「金生樹」と呼ばれて一芽百両という高価格で取引され、天保の改革では規制されたこともありました。
- 江戸後期〜明治
さらに趣味性は高まり、京都の楽焼「短冊屋」などが万年青鉢を製作するようになりました。当時の鉢は「古鉢(こばち)」と呼ばれ珍重され、現在でも〇十万という価格で取引されることも度々です。
- 現代
その後もブームは繰り返され、現在では伝統園芸植物として全国の趣味者が美術品を作ったり、殖やして下取りするなど楽しまれています。
引っ越し万年青・縁起物として
関東を中心とした地域では、徳川幕府が繁栄したという故事にならい「引っ越し万年青」という風習もあり、最初の荷物として万年青を運び込み、鬼門である北東に置くと良い、とされます。
スピリチュアルの観点でも玄関先に飾るのも良いという説があり、両方に飾るのをオススメします。
現代では、結婚式で子から親に万年青を渡したり、父の日に万年青を贈るなど、長寿を願う縁起物としても喜ばれています。
万年青の育て方
基本の4つを押さえれば、失敗は大きく減らせます。
- 置き場所(採光)朝2〜3時間の直射日光が当たり、それ以降は明るい日陰(7,000-15,000lux)がベスト! 基本的に風通しを良くしますが、春先と秋〜冬の冷たい風に当てると葉焼けを起こすことがあるので注意が必要です。耐寒性が高く、冬は-3℃程度まで耐えます。温度変化の少ない0〜5℃の場所が理想的です。
- 水やり「水やり三年」と言われますが、基本を抑えれば失敗を大幅に減らすことができます。春・秋は毎日ですが、根の数にもよりますが4日程度ならやらなくても枯れることはありません。夏(梅雨明け〜9月末)は2〜3日に1回。冬(12〜3月)は4〜7日に1回が目安です。
- 肥料4〜6月に1ヶ月に2粒ずつの置き肥で大丈夫です。液肥を与える場合は置き肥と併用して窒素濃度を計算して、晴れの日に与えます。ワラ灰の灰汁水も有効です。
- 増殖割子、芋吹きという方法があります。特に芋吹きを覚えておくのがおすすめ。4月に来園くだされば、どなたでも無料にてお伝えいたします。
一歩進んだ美術木作りの秘訣
万年青はそんなに簡単には枯れませんが、上手に作ろうと色々やると難しくなります。基本をマスターすれば、安全に美術木作りをできます。
- 肥培管理は液肥を主体に ppm 計算置き肥主体だと窒素過多になりがち。万年青はN(窒素):P(リン酸):K(カリウム)比率を1:1.5:2で育てます。芋根が健全に育てば葉はついてきます。
- 肥培効率を上げるための鉢内環境竹炭、桑炭やゼオライトを混ぜ込み、水はけ良く植え込むことで有用な微生物が住みつき、肥培効率が上がります。結果として他の悪性な菌の繁殖を防ぎます。
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| 電車 | しなの鉄道北しなの線・JR飯山線 豊野駅から約3km |
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| お車 | 上信越道 須坂/長野東IC または 中野IC から約15分。小布施PAスマートIC から約10分 |