おもとの用語

葉芸・斑・栽培でつかう言葉を82語まとめました。

万年青の世界には、葉の形や斑の入り方、栽培の状態を言い表す独特の言葉が たくさんあります。品種の説明や展示会の場でよく出てくるものをまとめました。

葉形(芸)の種類

おもとは葉の長さによって大葉系30〜50㎝、中葉系10〜30㎝、小葉系10㎝以下の三つに大別される。さらに、葉の形質が変化したものを“芸”と呼び、斑と併せて観賞する。主な芸は以下の通りである。

原葉げんば
一般的に見られる無芸の葉のことである。
熨斗葉のしば
葉の両側の縁が熨斗を折ったように折れているもので、熨斗芸ともいう。
ビリ
熨斗葉の縁が小さく波打っている状態をいい、小波葉ともいわれている。
甲竜こうりゅう
葉の中央に突起物のように小さな葉が重なり合ったものを竜(りゅう)と呼んでいる。
雅糸竜がしりゅう
甲竜が細かく筋状に配列された状態をいう。葉全面に現れるものを総雅糸という。
二面竜にめんりゅう
葉の左右に甲竜が二本入ったものをいう。夫婦竜も二面竜のひとつとして観賞している。
裏雅糸竜うらがしりゅう
葉の裏側に現れる雅糸竜をいう。
裏竜うらりゅう
葉裏の基部に甲竜が現れるもので、『阿波日月』『長寿楽』『逆鉾』などの品種に見られる。
玉竜ぎょくりゅう
雅糸竜の中に出る玉コブ状の突起をいう。
剣葉けんば
剣のように細長く尖った管状の葉をいう。品種によってその長さは異なる。
鈴虫剣すずむしけん
スズムシの雌に見られる輸卵管に似て、葉の途中から鋭く尖った剣葉になっている葉のこと。
群雀ぐんじゃく
葉の先端に雀のくちばし状の突起が出るもので、生長とともに小さくなる。
巻き葉まきば
葉の縁が内側に巻き込んだ葉で、日月星系の品種に多く現れる。
獅子葉ししば
葉先が葉裏に沿ってカールした葉をいう。カールの仕方によって丸く巻く丸巻きと、巻き方が角ばっている角巻きがある。
丸葉まるは
葉幅が広く葉先が丸くなったものをいう。
細葉ほそば
葉幅が狭く葉の長いものをいう。
立ち葉たちは
葉が垂れないで立ったもので、四十五度の扇状に開くものを中立ち葉という。
四方葉しほうば
花芽が出ると次に出る葉は今までの葉とは直角に近い状態から出ること。
厚葉あつば
通常、羅紗系のように葉肉が厚く、地合いのあるものを指している。
薄葉うすば
野生種と同じ葉の厚みを持つもので、縞甲系のようにかなり葉が厚く硬いものも薄葉と呼ばれている。
羅紗らしゃ
葉が肉厚で表面が粗地となり、布地の羅紗を思わせる芸。小葉系に多く見られる。

斑(柄)の種類

斑とひと言で言っても遺伝性のあるものとないものがあり、覆輪、図、虎は遺伝性のない突然変異(キメラ斑)で、突然に消えてしまうこともまれにはある。

あお
野生種など斑のない普通の葉。
つめ
葉先の部分だけに入る覆輪で、帽子と呼んだり爪覆輪と呼んでいる。
覆輪ふくりん
葉の縁周囲を白または黄色で縁どりされた状態の斑をいう。大葉おもとではこれを「高嶺」と呼んでいる。覆輪が浅く入るものを糸覆輪、深く入るものを深覆輪(大覆輪)と呼んでいる。
デモ
縞が覆輪に変化する前段階にある状態で、葉の縁の一部だけが縞より白く入るもの。
しま
葉の基部から葉先にかけて筋状の黄色い斑が縦に入るもので遺伝性がある。毎年同じように現れることが少なく変化しやすいため、細かく葉全面に均一に入るものが最上で、これを「コートメ最上」といって珍重する。
胡麻斑ごまふ
黄色や白の小さな斑点状の斑が葉全面に入るもので、胡麻を振りかけたように入ることからこの名がある。
根岸斑ねぎしふ
『根岸の松』に見られる斑で、白地に細かい線状の青い斑を散らし、折り込んだような斑が全面に入る。
打ち込み斑うちこみふ
通常、千代田斑と呼ばれている斑の中でも、根岸斑とほとんど同じ斑模様ながら、白地と線状の青斑が凹凸となっているためこの名があり、根岸斑より鮮明度が高く美しい。
白斑しらふ
根岸斑、打ち込み斑と同様で、よく似ているが冴えや鮮明度に欠けて、やや濁りのある斑という印象となる。
砂子斑すなごふ
白っぽい葉の中央部は帯状の青があり、白地の部分に向けて細かい青砂を吹きかけたように入る斑。
とら
白や黄色の大小の斑点が葉の所々に現れるもので、斑点の形状によって模様となり美しい。点々と入る散り虎、流れるように入る流れ虎がある。
矢筈虎やはずとら
矢羽根のように虎が現れることからこの名がある。
白い大小の斑点状の斑が葉の基部から葉先にかけて現れるもので、この斑が現れると値打ちが数倍、数十倍となり大変喜ばれるが、遺伝性はない。
青覆輪あおふくりん
通常、紺覆輪と呼ばれ、葉の縁を青く縁どっている斑のこと。
中抜けなかぬけ
この斑も葉の周囲は青覆輪に覆われている。縞が変化して青覆輪を除いて中央部に黄色や白に抜きとったように入る斑。
半白はんぱく
縞や覆輪が変化して葉の片側半分が黄色や白になったもので、柄としては値打ちがなく嫌われる。
幽霊ゆうれい
葉に葉緑素のないものでアルビノともいい、柄としては最悪で、枯死してしまう。

栽培・観賞の用語

愛嬌あいきょう
容姿を表現する言葉で、愛らしい姿のものに使う。
青だれ(青にえ)あおだれ
高温多湿の真夏時、葉に熱湯をかけた後のように青黒色になり、どろどろと葉と芋が腐ってくる病気。
あたま
繁殖のため芋切り(芋吹き)をした親木の称。
当たりあたり
子となる芽当たり(休眠芽)のこと。
粗植えあらうえ
普通より大きめの用土で植え込むこと。
芋傷みいもいたみ
芋腐れを現すことば。
芋抜けいもぬけ
芋吹きや台切りなど親木の芋を付けて株分けした親芋が子から分離すること。
初芋うぶいも
初めて切った芋吹きのこと。
初木うぶき
まだ芋切り(芋吹き)をしていない親木のこと。
上根うわね
首元から出ている根。
枝根えだね
一本の根から何本もに枝分かれした根のこと。枝根が多くあれば木勢は強くなる。
襟組みえりぐみ
和服の襟合わせにも似て、葉の基部の合わせ具合が良いか悪いかを表現する。
折り下げおりさげ
葉が基部や途中から横へ折り下げられた状態を表す言葉。容姿を表現する時に使われる。
かがみ
芋切り(芋吹き)された芋の上面の切り口のこと。
片繰りかたぐり
左右の葉の均整がとれず、片側よりに大きな葉が出てしまっているもの。
効き根ききね
当たりのすぐ下から出ている根のこと。この根があると吹き上がりが良く良い子ができる。
木勢きせい
おもとの生長度合いを表現する言葉。
切り上げきりあげ
芋腐れしたものを健全な部分まで切り取ったこと。
首ずりくびずり
芋腐れした時や首元から根が出ない時、葉の際から親に根を付けずに芋を切ること。
首っちょくびっちょ
高温多湿の真夏に葉と芋の境界がただれて腐りが入ること。場合によっては枯死する。
下駄切りげたぎり
芋切りの時、芋の片側半分だけを切り取ること。
肥あたりこえあたり
濃度の高い肥料や多量の施肥のため芋や根に障害が出ること。
腰折れこしおれ
腰から葉が左右に折れ曲がることをいい、容姿を表現する時に使われる。
ごぼう根ごぼうね
ミズゴケ植えや粗植えをして、常に鉢内に多量に水のある状態で栽培すると、根はゴボウ状に長く直根になる。
凝るこる
芸の厳しい品種に見られる現象。老化や採光過多、施肥不足によって新芽の生長が著しく悪いこと。
ゴロタ
芋切り(芋吹き)をした時、切られた芋に根のないもののこと。
紺性こんせい
葉色の濃淡を現す言葉。
冴えさえ
図、虎などの柄物の美しさを表現する時に使う。葉の緑と対比してより鮮やかさのあるものが最上。秋になると美しくなるものを「後冴え」、悪くなるものを「後暗み」という。
作あがりさくあがり
前年より良く生長したこと。
作落ちさくおち
前年より生長が悪いこと。
地合いじあい
葉の表面の肌ざわりの状態を表す言葉。
渋根しぶね
根の皮膚病の一種。根が赤茶色に変色して働きが悪くなる。進行すると芋に移行する。
しょう
柄物などの血統を表す言葉。
芯止まりしんどまり
一年間一枚の葉も出ないこと。このような状態になると子が出やすい。
双吹きそうぶき
芋の両側から芽が吹き上がったもの。
稚葉ちば
葉繰りの最初に出る短い葉。
出すくみですくみ
親から伸びかけて止まった子のこと。
独立(自分根)どくりつ
芋吹きや親から上がった子の新根のことをいう。
徳利とっくり
作落ちしたものが出来なおって、芋の形が徳利状になったもの。
根落ちねおち
根が腐って芋の根の落ちた穴があいた状態をいう。注意が必要。
生えはえ
実生から誕生したもの。芋切りしていないものを生え初ぶという。
葉繰りはぐり
葉の枚数が多く出るものを「葉繰りが良い」という具合に表現する時に使う。
葉焼けはやけ
寒風や採光過多で葉が赤く焼けること。薬害にも注意する。
夫婦吹きめおとぶき
芋の片側から上下に並んで吹いた芋吹き。

出典: 『万年青の特徴と育て方』(日本おもと業者組合)「おもとの基礎知識」より。 説明文は出典のまま掲載しています。